姿勢を伝えるために体へ触れるときは、先に目的と場所を説明し、相手が断れる状態で確認しましょう。以前に了承を得たからといって、今回も同じように受け取られるとは限りません。
大切なのは、「触っていいですか」と言った事実だけを残すことではなく、触れない説明も選べるようにすることです。この記事では、インストラクターが会話を見直すための例を紹介します。触れ方の実技や、法的な同意書のひな型ではありません。
触れる前に目的と場所を伝える
オーストラリアのピラティス団体は、会員の行動規範で説明に基づく同意を重視し、学んだことや経験の範囲内で指導するよう求めています。これは同団体の基準であり、日本の法的義務を示すものではありません。ピラティス団体の指導範囲と行動規範
実際の声かけでは、「調整しますね」と言ってすぐに触れるのではなく、何を伝えたいのか、どこへ触れるのかを具体的にします。相手が返事をする前に手を伸ばさず、説明と確認の時間を分けてみてください。
例えば、肩の位置を説明したい場面なら、次のような聞き方が考えられます。
肩の位置をお伝えしたいのですが、肩に触れて説明してもよいですか。触れずに言葉と見本でお伝えすることもできます。
これは編集部の会話例です。どの部位でも触れてよいという意味ではなく、実際の内容は自身が学んだ範囲と相手の希望に合わせて考えてください。
返事を急がせず代わりの方法を用意する
返事がはっきりしないときは、了承と受け取らず、まず触れない説明に戻しましょう。周りに人がいるため言いにくい場合も考え、理由をその場で詳しく聞き出す必要はありません。
断られたときは、「では、触れずに説明しますね」と受け止めます。「その方が早いのですが」と説得したり、断った理由を何度も尋ねたりする対応は避けたいところです。
代わりの方法には、言葉で位置を伝える、自分の動きを見せる、動きを止めて説明を聞いてもらう、といった選択肢があります。どの方法でも理解が難しければ、無理にその種目を進めず、説明の仕方や内容を見直します。
マシン上で姿勢や接地を急に変えて見本を見せるなど、確認のために不安定な状況を作らないでください。器具の扱いは、その機種と受講内容に応じた説明を優先します。
途中で気持ちが変わったときの対応
最初に了承していても、途中で触れてほしくなくなることはあり得ます。開始前に「途中でも、触れない説明に変えられます」と伝え、変更を言い出しやすくしておきましょう。
消費者庁は、パーソナルトレーニングの事故防止の案内で、体調や痛みを伝えることや、その合図を事前に話し合うことを勧めています。これは接触への同意だけを扱った資料ではありませんが、受講者が中止や不安を伝えられる準備の参考になります。消費者庁の事故防止の案内
| 相手の反応 | その場での対応例 |
|---|---|
| 触れない説明を希望する | 希望を受け止め、別の説明へ切り替える |
| 返事に迷っている | 急がせず、触れない方法を提案する |
| 途中でやめてほしいと言う | 接触を止め、次の説明方法を確認する |
| 痛みや不調を伝える | 運動を止め、安全を確認する。必要な医療への相談を妨げない |
この表も編集上の対応例です。同意を得たことは、痛みや危険を我慢してもらう理由にはなりません。痛みや体調の不安がある場合は、医師などの医療専門家に相談するよう案内してください。インストラクターが接触によって診断や治療を行うものではありません。
スタッフ間で共有する範囲を決める
担当者が交代する場合は、受講者の希望が次の担当者へ伝わる方法も考えます。「触れない説明を希望」といった必要な情報を、誰がどの目的で扱うか、施設の方針と本人への説明をそろえましょう。理由を推測して書き足すことは避けます。
健康や私生活の詳細まで広く共有する必要があるとは限りません。記録の扱いは料金・顧客管理の基本も参考にし、個別の法的判断が必要なら専門家へ確認してください。
触れないと伝えられない場面が多いと感じたら、インストラクターの学び直しの中で、言葉や見本による説明を練習する方法もあります。相手が選べる説明を増やすことから、普段のレッスンを見直してみましょう。


